ソフトウェアでピクセルをビニング(Bin)する方法
ピクセルビニング(Binning、略してBin)は天体写真でよく使われる手法です。この記事では一つの実務的な問題に絞ります。撮影のその場でカメラにBinをさせるよりも、画像を保存しておいてから、コンピューターのソフトウェア上で仕上げたほうがよい——たいていはそのほうが結果が良くなります。ここではPixInsightとAstro Pixel Processorのそれぞれで、いちばん簡単なやり方を一つずつ挙げます。
まず一つ注意:ブランドが違えばBinの既定値も違う
ZWOとQHYは、現在アマチュア天体写真でよく見かける冷却カメラの二大ブランドです。おもしろいことに、たとえ二台のカメラが同じCMOSチップを使っていても、使用上の特性は異なることがあります——その一つがBin(ピクセルビニング)の既定の挙動です。ZWOとQHYのBinの既定値は、もともと違っていたのです。
まさにカメラ本体側の挙動が各社で異なるからこそ、私はBinを後処理の段階まで残しておき、コンピューターのソフトウェア上でまとめて処理するほうを好みます。こうすれば結果が制御できるうえに、アルゴリズムの選択肢も増えます。(ZWOとQHYのBinの違いの詳細や、ビット深度の原理については、別に専用の記事があります。)
やり方その一:PixInsightでIntegerResampleを使う
PIでは、IntegerResampleというProcessを使います。
- factorを2に設定し、downsampleを選ぶ。
- modeはaverage(平均)を選ぶ。
こうして得られる結果は、CMOSカメラ側の「平均値Bin」の結果とまったく同じになります。言い換えれば、カメラのBinの平均効果をコンピューター上で再現でき、しかも完全なデータを使って計算できるのです。

やり方その二:APPでINTEGRATE scaleを使う
Astro Pixel Processorでは、「6) INTEGRATE」のページでINTEGRATE scaleを0.5に設定します。
注意したいのは、この結果は、前述のIntegerResampleの平均のやり方とまったく同等ではなく、むしろPIで内挿(interpolation)を使うresampleプロセスの結果に近いはずだ、という点です。両者の違いはリサンプリング時のアルゴリズムの違いにあり、実際に使うときは必要に応じて選べます。

まとめ
ピクセルビニング自体は難しくありません。鍵は「どこでやるか」です。カメラ側でBinをするのは、主にファイルを小さくしたりフレームレートを上げたりするためです。しかし目的がS/N比の向上と完全なデータの保持にあるなら、画像を保存してからPixInsightやAPPでソフトウェアで仕上げるほうが、より確実な選択になります。